DCモータを使ったマイクロマウス入門④

佐倉です。
引き続きDCモータを使ったマイクロマウス入門を進めていきます。

今回は、モータの選び方の説明をしていきます。

長く続いているので、おさらいをしておきましょう。
第一回では、全体の流れを説明しました。
第二回では、ある車体の運動(加速度、角加速度)をさせたい時に出力するべきモータのトルクを計算しました。
第三回では、モータからトルクを出力するにはどのようなDuty比を出力すればよいかという所を説明しました。

今までの記事でわかっている事は、
ある車体に、ある運動をさせたい時に、出力するべきDuty比
というつながりですね。

ここまでわかってしまうと、やる事はあと2つです。

  • 車体の設計を行う
  • 車体の制御を行って正確に車体を動かす

ですね。

今回は車体の設計について説明していきます。
コンセプトや大きさ、求める性能などは自分で決める事ですが、だいたいの重さがわかればモータやギヤ比、タイヤ径などを選べます。

選び方の方針を決めます。
要求する運動性能を満たすというのが簡単な目安になります。

何をもって要求する運動性能を満たすと言えるかというと、
要求する最高速度かつ最高加速度で運動する瞬間のDuty比が100%以下になるという事ですね。
言い換えると、どんな場面でも出力が飽和せずに要求する運動を出力する、ということです。
なので、今までの式を全てDuty比についてまとめてみましょう。

回転系も直進系も同じような感じなので、直進系のみ紹介します。
まずDuty比をトルクから求める式を前回から引っ張ってくると、
Duty = ( R・τ/KT + KE・ω ) / VBAT
R, KT, KE →モータの各種定数
ω → モータの回転数[rpm]
VBAT → 電源電圧[V]

次に、加速度→モータトルクの式を前々回の記事から引っ張ってきます。
τ = ( r ・ m ・ a ) / ( 2 ・ n )
m → 車体の質量[kg]
a → 加速度[m/s^2]
n → 減速比[ratio]
r → タイヤの半径[m]

これをDutyのτに突っ込むと、一本化された全体の式が出てきます。汚くなりそうなのでここではやめておきます。
とにかく、このDutyが1以下になればなんとか要求性能で動くということですね。
実際には各種摩擦や効率、タイヤの慣性モーメントなど、考えていない項目が山とあるのに加え、
制御のためのマージンも取らなければならないので最悪でもDuty比を0.8以下くらいにするつもりで考えます

今まで一度も具体的に説明していない部分があるので割り込みで説明します。
モータの回転数ωです。これは、タイヤが滑っていないとするとタイヤの速度から簡単に求められます。
タイヤの速度をv[m/s]とします。直進中であれば車体の速度と同じですね。これが、タイヤの回転速度tv[回転/s]と、タイヤの円周(2πr[m])の積と一致します。
v = tv・2πrですね。
tv = v / 2πr [回転/s]
rpmを求めたいので60掛けてあげましょう。
tv = 60・v / 2πr [rpm]
タイヤは減速比1 : nで減速されているので、モータについては、タイヤのn倍の速度で回転します。
ω = n・tv = 60・n・v / 2πr [rpm]
車体の速度からモータの回転速度が求めらる事がわかります。

さて、式が出たので、何を決めて、何を追い込んで行けば良いかを明確にします。
まず譲りたくない所を決めましょう。性能は妥協したくないですよね。

  • 要求する加速度を決める
  • 要求する速度を決める

すると、残りの要素は、

  • 電源電圧を決める
  • 質量
  • モータ
  • タイヤ径
  • 減速比

の5つです。
これらをなるべく軽く、作りやすくなるように追い込んで行きます。(たまに、手に入らないギヤで設計してしまってどうしようというような話を聞きます。)
Excelかそれに類するソフトで計算用のシートを作って試行してみるのが良いでしょう。
効率やモータの発熱など、考えるべき様々な問題がありますが、マイクロマウスくらいの大きさではそこまで深く考えなくとも酷いことにはならないので、とにかく1回動くものを作ってみるのが重要だと思います。

次回は車体を制御する方法を紹介します。


迷路